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相続財産とは?

相続財産とは、亡くなった人が所有していた財産のことを指しますが、相続手続きを円滑に進めていくためにも、相続財産には具体的にどのようなものがあるのかを知っておくことが望ましいです。

■相続財産を判断する観点

①相続財産となるもの
相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産(負債)が含まれます。
プラスの財産には、現金、不動産、預貯金、車、株式、債権(貸付金債権、損害賠償請求権など)といったものがあります。
また、財産には上記の様なプラスの財産だけではなく、借金や未払いの税金などのマイナスの財産が含まれますので、意図せず多くのマイナスの財産を相続するといったことにならないよう注意が必要です。

②相続財産にならないもの
相続財産にならないものには、以下のようなものがあります。
・生命保険金や死亡退職金
・被相続人の一身に専属していた一身専属権や義務
 養育費の請求権、支払い義務、使用貸借権、身元保証人の地位、生活保護や年金の受給権など
・墓地・墓石や仏壇など、故人を供養するために使用する財産
・公的年金機関から支払われるもの(死亡一時金や未支給年金)

③相続財産とみなされるもの(みなし相続財産)
少々ややこしいのですが、みなし相続財産とは法律上は相続財産ではないが税務上は相続財産とみなされて課税される財産を指します。
つまり、相続人間での遺産分割における相続財産には含まれないが、税務上は相続財産とみなれる財産となり、以下の様なものがあります。
・生命保険の死亡保険金
・勤務先からの死亡退職金
・死亡前3年間に行われた相続人への贈与
 ※2024年以降に行われた贈与分は、死亡3年前→7年前まで範囲が拡大されますので、今後の相続財産の算定には注意が必要です。

相続人とは?

相続人とは、亡くなった人の財産を受け継ぐ人のことです。
相続人と遺産相続の割合は民法で定められており、相続人を「法定相続人」、遺産相続の割合を「法定相続分」と言います。

相続人の範囲と順位

亡くなった方の相続手続きを行う際、誰が、どのような順位で相続人となるのかをご紹介します。
配偶者(夫または妻)は必ず相続人になります。
その他の相続人は、次の順位で決まります
①子ども、代襲者である孫・ひ孫・養子
②父母(父母が亡くなっている場合には祖父母)
③兄弟姉妹・甥姪

上記を少し補足すると下記の様になります。
・①の順位の方がいない場合に②の方が相続人
・②の方がいない場合は③の方が相続人(先に兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥、姪が相続人となる)

■相続人と相続の割合

相続割合は、相続人の組み合わせや人数によって異なります。
例えば、以下の様なパターンが考えられます。

・配偶者のみが相続人 :配偶者が100%相続
・配偶者と子供が相続人:配偶者と子供でそれぞれ2分の1ずつ相続(子供が複数いれば2分の1を均等に分割する)
・配偶者と父母が相続人:配偶者が3分の2、父母が3分の1を相続
配偶者と兄弟姉妹  :配偶者が4分の3、兄弟姉妹は4分の1を相続
・子供のみが相続人  :子供が100%(複数いれば均等に分割する)

相続手続きの流れ


相続手続きのスケジュール

上記の様に相続に関する手続きは多岐にわたります。
以下の様な点に気を付けつつ計画的に進めていきましょう。
●各手続きの期限
相続手続きには期限がありますので、それらを把握して進めていく必要があります。
相続放棄、相続税申告の期限などを逃さないよう、必要な手続きと期限を把握して行っていきましょう。

●遺された財産の把握
財産調査や財産目録の作成時には、正確な評価が重要です。専門家の助言を仰ぎ、不動産や金融資産などを適切に評価しましょう。これにより、相続人間の遺産相続に関する問題を未然に防ぐことができます。

●円満な遺産分割
遺産分割は家族や関係者の間で合意形成する必要があります。円満な合意に向けてしっかりコミュニケーションを取り、感情的な対立や法的なトラブルを回避しましょう。

これらが順調に進まない場合、遺産相続や税金の納付等で不利益が発生する可能性があります。
遺産の相続は預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金等のマイナスの遺産があり、意図せず負の遺産を背負ってしまう恐れもあります。
このため、相続手続きを計画的に進めたり、早めに専門家に依頼して進めていきましょう。
上記の手続きについては、別の記事でそれぞれ内容をご紹介していきます。