遺言とは?

■遺言(遺言書)とは何か?

「遺言」は、日常では「ゆいごん」と言われることが多いですが、法律上の言い方では「いごん」と言います。
遺言者による自身の死後の財産の処分、遺産分割の方法などについての意思表示のことを言い、それを文書化したものが遺言書です。
遺言書には法律的な効力があり、基本的には遺言書の記載内容が尊重されるため、遺言者の意向に沿った遺産相続、予め遺産相続の方針を示しておくことによる円滑な相続の実現のために利用されます。

■遺言の種類

遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
実務上は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の2種類がよく利用されるため、こちらについて特徴をご紹介していきます。

■自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴

上記より、自筆証書遺言、公正証書遺言のメリット、デメリットは以下の様になります。

●自筆証書遺言のメリット
・費用は基本的にはかからない。(法務局の遺言書保管制度を利用した場合でも3900円)
・煩雑な手続きが不要で自分で作成できる。
・遺言書保管制度を利用した場合、改ざん・紛失の危険も回避できる。

●自筆証書遺言のデメリット
・遺言者が自身で作成するため、記述内容や形式に不備があると無効になる。
・遺言者が手書きで作成するため、遺言者の意思が反映されたものかを疑われる場合がある。また、書き換えや偽造の可能性も存在するため、証拠能力が低下する可能性もある。
・遺言書の保管制度を利用しなかった場合、改ざん・紛失・隠ぺいの恐れがある。
・遺言が発見されない恐れがある。
・遺言書の保管制度を利用しなかった場合、遺言書を開封するには家庭裁判所での検認手続きが必要になる。

●公正証書遺言のメリット

・公証役場で、遺言者、公証人、2名の証人が揃って作成されるため、信用性が高い。
・公証人が作成するため、記載内容や形式の不備によって無効になる可能性が低い。
・公正証書のため法的な証拠力があり、記載内容の疑いなどから争いとなる可能性が低い。
・遺言書を開封する際の家庭裁判所の検認手続きが不要。
・公証役場で保管されるため、紛失・隠ぺいの恐れがない。
・口頭で公証人に遺言の内容を伝えれば良いため、文字が書けない状況でも対応できる。

●公正証書遺言のデメリット
・自筆証書遺言と比べて費用がかかる。
・公証役場に作成を依頼する手続き、証人2人を用意するといった手間がかかる。

■自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらが良いのか?

自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴を取り上げてきましたが、どちらにもメリット、デメリットはあるものの、公正証書遺言が望ましいと考えられます。
費用面では自筆証書遺言よりも費用がかかりますが、法的な信頼性が高く、記載内容や形式の不備により無効となる可能性が低いためです。
遺言書で自身の意思を残し、亡くなった後にその意思を実現するためにはどちらが安心・安全かを考慮して決めることが大切です。

遺言書の作成は自身でも可能ですが、専門家にサポートを依頼することで正しい形式や記述内容で遺言書を作成することにより有効な遺言書を残すことや、煩雑な手続きを代わりに行ってもらことができます。遺言書の作成を検討されている方は、行政書士、司法書士、弁護士等の専門家に相談されてはいかがでしょうか。